2chが5chになった件で、ドメイン名紛争を中心に解説します

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2ちゃんねるが突然、5ちゃんねるになって驚いた方も多いかと思います。私も驚きました。

 

「2ちゃんねる」が「5ちゃんねる」に変わる(NHK News Web)

 

この件について、特にドメイン名紛争について解説します。

2ちゃんねるは、2ch.netというドメイン名で運用されていました。

このドメイン名の所有を巡って、2ちゃんねる創始者の西村博之氏とRace Queen Inc.との間で、どちらが所有者なのか?で争いが起きました。

2016年西村氏は、世界知的所有権機関(WIPO)に、自身が真の所有者であるという申し立てをします。

商標権を侵害され、ドメイン名が乗っ取られた時に、取り戻す方法としては、UDRP(統一ドメイン名紛争処理方針)というものがあります。

流れとしては、下記の通りです。

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紛争処理機関は、このリストの中から申立人が選べます。

西村氏が利用したWIPOをはじめ、欧州、米国、アジア、アラブなど全5ヶ所あります。

ちなみに、当社が仲裁機関を利用する場合は、米国のNAFを選択しています。経験豊富な米国の法律事務所を利用しているため、時差などの利便性を考えてのことです。(*1)

 

申立人が申立書で立証しなければならないことは、下記の3つです。

 ①申立の対象となっているドメイン名が、申立人の有する商標と同一または混同を引き起こすほど類似していること

②登録者が、そのドメイン名登録について権利または正当な理由がないこと

③登録者のドメイン名が悪意で登録かつ使用されていること

 

西村氏は、まず、2chの商標権を2014年に出願、2016年4月22日に取得しています。コチラ

そして、パネリストは①については認めました。

②については、パネリストが認めず、裁定結果は棄却となったわけです。

(③の結果によらず、②がダメなら結果は棄却にしかならないので、③については、検討されませんでした。)

WIPOによる裁定結果は、コチラで閲覧できます。(英文*2)

 

「権利関係に関する無用な紛争を生じさせず、また、皆さまに継続的に、安全かつ快適にご利用いただけるように、掲示板の名称を新たに『5ちゃんねる』へと変更しました」

といった経緯が記載されていますが、さきほどのWIPOが①について認めた、という点が関係していそうです。

WIPOの裁定というと、イメージとしては最終決定のような感じがしますが、UDRPは、一般の訴訟より簡単に短期間で結果を出すためのもので、どちらかというと簡易なものです。

西村氏にはさまざまな対抗手段がありましたし、現在もあると思われます。(まずは裁定が出て10日以内に訴訟を起こすのが、裁定結果を確定させないためにも良かったように思いますが、訴訟を起こしたかどうか、わかりません。)

今回、5chに変更したのは、西村氏が商標権を持っている2chという名称を使わないことで、西村氏に訴訟を起こされるリスクを減らせるという考えだったのではないかと想像します。

創業20周年で2ちゃん降臨を果たした身としては、2ちゃんがなくなってしまい、これでもう未来永劫2ちゃん降臨はできないかと思うと、寂しい限りです。

50周年で5ちゃん降臨を目指そうかと思います(笑)

(*1)当社ではサービスメニューとしては、紛争仲介コンサルはしていませんが、お客様のご要望ベースで対応させていただいています。

(*2)一定の条件の下、英語以外も可能です。法律事務所が双方ともに日本の法律事務所でしたが、英語を選択されたようです。


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