IPアドレスと本人特定〜noteのIPアドレス漏洩

noteで著者のIPアドレスが見える状態だったということで、ちょっとした騒ぎになっています。

「note」で著名人IPアドレス漏えい サービス一時中断 「おわび」掲載(毎日新聞)

noteユーザーのIPアドレスが漏えい、運営会社が謝罪 有名人のIPアドレスと一致する5ちゃんねる投稿が検索される事態に(ITmedia)

noteユーザーのIPアドレス漏えい ネットで特定祭、断定には法的リスクも(livedoor NEWS)

noteで著名人がブログを書く

   ↓

書いているときのIPアドレスが見える状態だった

   ↓

そのIPアドレスと同じIPアドレスで、自作自演や他者への批判などがあったため、自作自演や他者への批判がその著名人の仕業ではないか、ということで、ネットで盛り上がっている

という状態です。

ここで問題になるのは、

同一IPアドレス = 同一人物 なのか?

ということです。

ほんの5〜6年前まで、

(ほぼ同じ時間帯であれば)同一IPアドレス = 同一人物

でした。時間帯が違えば、同一人物でもIPアドレスが変わることがあるので、ほぼ同じ時間帯であれば、という限定がつきます。

Twitterや掲示板での名誉毀損訴訟などでも、書き込んだ時間、何月何日何時何分何秒のIPアドレスについて、このIPアドレスの利用者の情報を開示せよ、という裁判所命令が当社のような小さな会社にもたまに来ます。

しかしながら近年は、IPoE接続と呼ばれる接続方式でのインターネット接続が非常に増加したため、IPアドレスだけでは特定が難しい場合が多くなっています。

IPoE接続とは、v6プラスとか、当社ではZOOT Nativeと呼んでいるようなサービスです。

これらのサービスは、

一つのIPアドレスを最大256人程度で共有するサービス

なのです。

ですから、IPアドレスが同じだからと言って、同一人物であるという可能性は、近年は減少している、と言えます。

(ちなみに、IPoEサービスを利用すれば、同じIPアドレスだから、悪いことをしてもわからないのか、というと、そんなことはありません。IPアドレス以外の情報も組み合わせて特定が可能です。)

この文章で私が言いたかったことは、

同一IPだから同一人物と短絡的に考えてはいけない

同一IPだから同一人物だと考えて、名誉毀損となるような発言をしないようにしましょう

ということでした。

(注)本文中、IPアドレスとはIPv4アドレスのことです。引用した各記事もそのような扱いだったため、合わせました。