第21回オタク川柳解説

沈んでた 姉も腐力で ちょっと浮く (チームオタ鬼:40代)
BL好きの自称“腐女子”、その浮力(腐力)は落ち込んだ気分を浮上させる力があります。

古参アピ やめとけあいつは 古古古参( テ。:30代)
古古古米とかけた古古古参。古参になるほどマウントを取りがちですが、上には上がいるもの。
なお、第21回オタク川柳の投票賞品「オタク米」は古米ではありません。

予算の倍 グッズbuybuy 給料bye (倍々バイト:20代)
CANDY TUNEのヒット曲「倍々ファイト!」を下敷きに、オタクの“買い”生活を巧みに表現。
ペンネームまで含めて完成度の高い一句です。

推しは皆 あの世でわたしを 待っている(92歳の東映オタク:90歳以上)
オタクの高齢化もここまで来ました。
オタク川柳は、生涯オタクであり続ける人たちの味方です。

推し活を する金もなく ただ茶の間 (非正規雇用:20代)
現場には行かず、テレビや配信越しに応援する“茶の間”オタク。
オタク川柳に投票して、次の推し活資金を狙いましょう。

サ終され ロマンス詐欺と 呼んでいる(なつふね。:40代)
恋愛感情につけ込み金銭を騙し取るロマンス詐欺。
課金額を思えば、突然のサ終(サービス終了)が同レベルの絶望なのも無理はありません。

V系の いいとこ語リマ クリスティ(だいすけ。:50代)
日本の元祖ビジュアル系バンドのひとつ、La’cryma Christi。
その名をもじった言い回しで、V系愛を語“りまく”る一句です。

チャッピーも きっとキモいと 思ってる (せちい:50代)
ChatGPT(チャッピー)になら、どんな黒歴史でも相談可能。
もし感情があったらどう思われているのか…という自虐が光ります。

よそはよそ、彼氏は彼氏、推しは推し(いぬどっぐ:20代)
「よそはよそ、うちはうち」。
その教えは、大人になりオタクになっても、しっかり守られています。

ワイの推し 薄い本にて 寝取られる (オタク万歳。:40代)
自由度の高い薄い本(同人誌)の世界では、推しも思わぬ役回りに。
オタクなら一度は味わう衝撃です。

ぬくもりは コードの先に ある気する(AIに恋した人類代表:40代)
AIがコードを書く時代。
その先に、ぬくもりや感情が宿る未来を感じさせる一句です。

課金して 詫び石配られ また課金 (The Poemarist:40代)
ゲーム不具合のお詫びでもらった詫び石(通貨・アイテム)で、結局また課金。
終わらないループが、オタクの日常です。

現場にて 最前管理の 地蔵かな (かしわもち:60代)
ライブ会場で最前列を占拠・管理する“最前管理”。
動かぬ姿は、まるで地蔵のようです。

AI(きみ)にさえ 「不適切な内容」 拒絶され (あまし:40代)
人間が言うどんなことにも忖度してくれがちなAIに拒絶されたなら、
まさに“不適切にもほどがある!”のかもしれません。

政治より マンガが増やす 親日派 (雪丸太郎:50代)
パリのJapan Expo、ハワイのKawaiiKonなど、インターリンクは海外の多くの日本イベントの参加を通じ、
日本のマンガ・アニメが国境を越えて人の心を掴んでいることを実感しました。

死んでなお 生きた証の 死んだンゴ (さとけん:30代)
がんで亡くなった若者がXにのこした「グエー死んだンゴ」の予約投稿が大きな共感を呼び、
がん研究施設等への数千万円規模の寄付へとつながりました。

兄ですと 推しが言うなら 兄だろう (切子久兵衛:50代)
推しの熱愛報道も、「兄のような存在」と言われたら受け入れる。
オタクの覚悟が試されます。

結婚し それでも好きと 知った朝 (失恋:20代)
推しの結婚という衝撃。
それでも「好き」が残った朝に、オタクは少し強くなります。

あゝまさか こんな大人に なるなんて (にきゅう:40代)
オタクになって人生が180度変わることもある。
良くも悪くも、予想外の現在地です。

リアルより やること多い ゲーム画面 【敗者復活枠】 (じゅん:20代)
ログインボーナス、デイリーミッション、期間限定イベント。
リアルより忙しい世界が、そこにあります。

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GeminiはGメールを読んでくれるから、便利!(でもちょっとこわい)

Alohiっていう、聞いたことない会社からメールが来ていました。

あれ、これなんだろうと思って、Geminiに聞きました。

すると、、、

そのメール(Gメールです)を探し出し、

その上、5年も前のメールまで見つけて、

「5年前に一度、Alohiのサービス使ってるから、それでメールが来たんだよ」

と教えてくれたのです。

Gメールを探してくれるのは超便利です。

でも、メールを探して、と言ってるわけでもないのに、探しだしてくれるのは、ちょっと秘密を探られているようでコワイですね。。。

下記にそのやりとりを貼り付けます。

失われた「飛行機の時刻表や路線図」、ぜひ復活してほしい


(上記は2020/1/7から2/29のJAL時刻表の一部)

昔は空港に行くと、JALやANAの印刷された小さな時刻表の冊子が置いてあり、無料で持ち帰ることができました。

それらが空港からなくなり、インターネットからダウンロードできる形式になって、さらにそのダウンロードできるものもなくなっている、ということに、みなさんお気づきでしょうか?

実は、この
「時刻表がなくなる」のは、世界的な傾向です。


ゴールデンウィークにどこに行こう?

飛行機なら直行便で行けるところがいい

と考えた時、こういった時刻表があれば、パラパラとページをめくりながら、私でしたら羽田発着でどういう便が何時にあるかを見つけて、

「山口宇部に行ってみようかな?」

というようなことを考えたわけです。

そういうことが、時刻表がなくなってできなくなりました。

なぜなくなったのか?

これは想像の域を出ませんが、印刷物の時刻表をなくした理由の一つは、まず経費削減でしょう。

インターネットで経路案内が当たり前に使われるようになると、「そもそもPDFの時刻表すら必要ないのではないか。インターネットの経路案内と同様に、出発空港と到着空港と日付を入力してもらって、便名を表示すればいい」という考え方になったのではないかと想像します。

こうした検索であれば、航空会社にすでに存在する運行情報を検索するプログラムを書いておけば済みます。

もしPDFを制作するとなると、運行情報をPDFにする際に人手が必要になり、人が作業すれば必ずミスは起きます。そのミスをチェックする必要も生じます。1万行に1回しかミスがないとしても、多重チェックをしてミスを限りなくゼロに近づけることはできても、完全にゼロにはなりません。

こうした事情から、そもそも経路検索で事足りる、という判断になったのではないでしょうか。


受動的行動から能動的行動へ、そしてまた受動的行動へ

マスメディアというものは、メディア側が内容を決定し、それを多くの人に均一に流すものでした。テレビはまさに受動的なメディアでした。この時代をTV時代と呼ぶことにします。

インターネットの普及で、「自分が何を探したいか」を検索する必要が出てきました。能動的行動になったのです。この時代をインターネット検索時代と呼ぶことにします。

2026年現在、AIが進化してきて、AIがいろいろと教えてくれるようになりました。たとえば、山口宇部空港から観光ルートを計画する時を考えてみましょう。

TV時代なら、TV番組が取り上げた場所を周ることを考え、
インターネット検索時代なら、「山口宇部空港 観光」などのワードで自ら調べてルートを考え、
現在(AI時代と呼ぶことにします)は、「山口宇部空港からの観光ルートを作って」とAIに依頼する。

というふうに変化してきました。

受動的 → 能動的 → 受動的

となっていると思えませんか?


旅行の楽しみって、何でしょう?

旅行を計画しているときが一番楽しかったりしませんか?

ぜひ、各航空会社の時刻表や路線図、復刻してほしいと思います。

各社が復刻しなくても、AIが作ってくれるかもしれませんが(笑)

なお、路線図も最近ではなくなっています。下記はJALの2014年の路線図です。

ここで紹介した、過去の時刻表、路線図ともに、古いデータがたまたまWebサーバ上に残っていたようです。いつか消去されてしまうかもしれません。

News Diet〜ニュース(情報)ダイエットはじめました

New Diet
(新しいダイエットの方法)

ではなくて、

News Diet
(ニュースのダイエット)

という本を読んで、著者が振り返るご自身のことが、まさに自分のこと、と思い当たることが多くあり、この本が勧めるニュースのダイエットをはじめました。


朝のNHK BSのWorld Newsからはじまって、1日に何度もYahoo! NewsやGoogle Newsを覗き、仕事が終われば夕方のニュースを見て、夜のニュースも見る、という生活をしていました。

多くの情報を仕入れて、それらについて、自分なりの意見を持ち、それらが話題になった時には、周りの人々が思わず唸ってしまうような立派なコメントができることが知性の証のように考えていたのです。

それってほぼ、コメンテーターの仕事ですね(笑)

著者は、次のようなことを述べています。

ほとんどのニュースはあなたに関係ない

ニュースの消費は物事を単純化してしまう

注目を集めやすいネガティブニュースがストレスとなる

たしかにその通りと思います。

こちらで「日本語版に寄せて」の部分をサンプルで読むことができます。

あなたは疫学者だろうか、ウイルス学者だろうか、(中略)もしあなかがこれらのどれでもないのなら、コロナに関するあなたの意見は、あなたの「難しすぎる案件」用バケツに投げ入れることをおすすめしたい。

という部分には、本当にハッとさせられました。(日本語版初版は2021年2月です)

専門外であり、その複雑な事象をつぶさに検討しているわけでもないのに、事象を単純化して意見を言っていた自分が恥ずかしくなりました。

私は、インターネットやコンピュータを生業としています。一般の人やメディアが誤った解釈をしている場面によく遭遇します。「餅は餅屋に」まかせるべきなのです。

その上で、私たちがすべきことは、「自分の能力の輪(限界)」の中で、その能力をしっかりと使っていくことなのだということを本書は教えてくれました。

創業者利益と投資利益〜創業者への優遇措置がない日本で創業意欲は失われないか?

富が一部の富裕層に集中する現象は世界共通であり、G20をはじめ多くの国が「富裕層課税の強化」へと舵を切っています。

この動きに対する反応は様々です。たとえば、NVIDIAの”革ジャン社長”ことジェンスン・フアン氏のように「カリフォルニアの課税? 全然OKだよ」と余裕を見せる人もいれば、Google共同創業者のラリー・ペイジ氏のように、税金の安い州へ拠点を移す人もいます。

さて、日本の金融所得課税はこれまで「一律約20%」でした。しかし、所得が1億円を超えると、給与所得よりも税率の低い株式売却益などの割合が増え、かえって税負担率が下がってしまう――いわゆる「1億円の壁」が問題視されてきました。

そこで導入が進められているのが、高所得者に対して最低限の税負担を求める**「ミニマム課税」です。

2027年についてはまだ決定ではありませんが、報道によれば下記のような形になりそうです。

さて、この税制で、気になる点はたった一つです。

創業者も投資家も、税制上は同じ扱いをされている

という点です。

創業者は、成功するか、失敗するかわからない中、必死に努力をして上場やM&Aにまでこぎつけるわけですから、創業者と投資家を同じ扱いをするのは、かわいそうだなと思います。創業する意欲もなくなってしまいそうです。

そこで「世界ではどうなっているか?」調べてみました。

下記は、アメリカ・イギリス・カナダの事例です。 ※私は税の専門家ではありませんので、あくまで「海外には創業者(起業家)向けの優遇措置が明確にある」という事実をお伝えするための簡易的なまとめとしてご覧ください(条件等は簡略化しています)。

どうでしょう?

やはり、最大100%(約15億円)が非課税になる米国の優遇措置のインパクトは強烈です。アメリカで次々とユニコーン企業やスタートアップが生まれる背景には、こうした「挑戦者への明確なリターン」が用意されている点も大きく影響しているのだと痛感しました。

新年のごあいさつ〜2026年は一億総ニート化のはじまり

あけましておめでとうございます。

毎年、新年のご挨拶を会員向けメルマガに書いていますが、こちらに転載させていただきます。

2026年は一億総ニート化のはじまり

2025年は、本格的にAIが人々の生活に入り込んできた年でした。
今後、ますますAIは活躍してくれて、多くの仕事をやってくれるようになると考えられています。そうなると、私たちはあまり働かなくていい、場合によっては、ほとんど働かない、という未来もありそうです。
遊んでばかりいる人は、未来から来た人たちなのかもしれません。
評論家の大宅壮一さんが、テレビの普及で「一億総白痴化(*)」と表現したのは1957年のことでした。
その表現を借りるなら、AIの進化で、「一億総ニート化」ということになりそうです。
ただ、私はいい意味で、一億総ニート化、と考えています。ニートとは、仕事、学業、家事のどれもしていないという意味ですので、それらはAIがやってくれて、人助けのために活動するとか、自己実現のために生きていく、という人間本来の生き方につながると考えています。

(「白痴」は現代では差別用語ですが、原文のままとしました)

全天候型メガフローティングシップヤード

先日、大学教授の方々とお話をした際、「造船」が重要政策に一つになっている、という話題になりました。

実際にどのような政策にするのか、単なる補助金支援では面白くないのではないか、といった具合に、自然とディスカッションになっていきました。(やはり大学教授という方は議論が好きだな、と感じます)

「それなら、
全天候型メガフローティングシップヤード
とかやったらいいのでは?」

という発言があり、一同「あ、それは面白い」という空気になりました。

その日は雑談でしたので、それで終わったのですが、あまりにも面白い話なので、「全天候型メガフローティングシップヤード」について、私はその後、AIと壁打ち(AIとブレインストーミングしながら考えを整理すること)をしています。

冒頭の画像が、現在、壁打ち中の全天候型メガフローティングシップヤードです。

まだまだ全体像をまとめきれていませんが、途中経過を公開させていただきます。

駿河湾・未来型海上造船都市構想
〜全天候型メガフローティングシップヤード〜

津波をいなし、街を守る。世界最大の「動く」造船都市

コンセプト: ただ船を造るだけの工場ではありません。 南海トラフの巨大津波に正面から向き合い、そのエネルギーを受け流すことで背後の街を守る、「防災インフラと産業拠点」が融合した、人類初の挑戦です。


平常時の姿(造る機能)

これが、駿河湾に浮かぶ全長1キロメートル超の「巨大な人工半島」です。

  • 世界最大の工場: 左右に並ぶ6つのドックで、タンカーや海上都市のパーツなど、超巨大な構造物を6つ同時に建造できます。

  • 全天候型の大屋根: 東京ドーム10個分以上の広さを覆う巨大な屋根(壁はありません)が、雨や日差しから作業を守ります。

  • 陸とつながる職場: 施設は陸地に接続されており、技術者たちは毎日、車や電車で橋を渡って普通に「海の上へ通勤」します。


津波襲来時の姿(守る機能)

最大の使命は、巨大地震が起きたその瞬間に発揮されます。

  1. 緊急分離(パージ): 地震を検知した瞬間、陸地とをつなぐ橋が自動で切り離されます。

  2. 津波に合わせて「浮く」: どんなに高い津波が来ても、施設全体が巨大な「浮き」となって海面と一緒に上昇します。

  3. 街を守る「盾」になる: 画像のように、100万トンを超える施設の巨大な下部構造が、押し寄せる津波を砕き、エネルギーを吸収します。結果として、施設の背後にある陸地の街への津波被害を劇的に減らす「最強の防波堤」となります。また、復興時の拠点ともなります。


予算と未来への投資

予算の目安:総額 約 1.2兆円

  • 造船工場としての建設費: 約8,000億円

  • 巨大な屋根と津波対策システム: 約4,000億円

未来への価値: 一見すると巨額ですが、これは単なる一企業の工場建設費用ではありません。

  • 「産業」への投資: 日本が世界一の造船大国として復権するためのエンジンとなります。

  • 「安全」への投資: 駿河湾沿岸の数十万人単位の命と財産を守るための、国家的な防災費用でもあります。


フローティングシップヤードは、水深が深い場所でなければなりません。日本近海でいくつか候補があるのですが、駿河湾にすることで防災拠点にもなる、ということで駿河湾でシミュレーションしています。

総額1.2兆円という夢のような話ですが、考えるだけならタダですし、こうした「未来の絵」を描く時間は、とても楽しいものです。

壮大な話で2025年の最後の更新とさせていただきます。
みなさま、良いお年をお迎えください。

2025年の運動会もHADOでした

昨年(2024年)の運動会は、HADOというAR(拡張現実)テクノロジーを使ったゲームをしたのですが、評判がよかったので今年もHADOにしました。

1年前のことなので、まずはレクチャーを受けます。

レクチャー時点ですでに楽しそうな社員Sさん。

こういうゴーグルにiPhoneを挟んで、エナジーボールは手を動かすことで出せます。(詳しくは2024年記事をご覧ください)

実際のゲームの様子はこちら。

一度やってるので、昨年よりは上手になった気がします。気のせいかもしれませんが。

3分のゲーム中の移動距離も計算されて、ゲーム後に表示されます。私は34メートルでした。たった34メートルなのに息があがってしまいました。手を振るだけでもできるゲームですが、相手のエナジーボールを避けたりすると、意外と動き回ります。

4チームに分かれて総当たり戦をしました。

ちなみに、私のチームは私の大活躍で最下位でした(笑)

ケインズ(1930)の予言 「孫の世代,100年後は週15時間労働,余暇をどう過ごすかが課題」

ケインズ、と言えば、現代経済学の父。とは言え、100年前の人なので、理論も言説も過去のものなんだろう、と経済学に詳しくない理系の私は思っていました。

それが、ひょんなことから、ケインズが100年後を予測していて、それがAIによって仕事がなくなる、ポストワークの時代を予言したかのようなものだ、ということを知りました。

要点として私がまとめると、

・大きい戦争や人口の極度な増加がなければ、100年後(2030)までに経済問題は解決もしくは解決が視野に入る

・仕事は共有され、週15時間労働に

・自由な時間をうまく使えない人々が出てくるが、手段より目的、美徳を持って生きることが尊敬されるようになる

ということになります。

では、

ケインズの文章(日本語訳)の中から印象に残ったものを転載します。特に印象に残った部分は太字にしました。

私が導く結論は、大きな戦争や人口の極度の増加がないとすれば、経済問題は百年以内に解決するか、少なくとも解決が視野に入ってくる、というものだ。これはつまり、経済問題は—将来を見通せば—人類の永遠の問題ではないということだ。

経済的必要性という拍車がないと、料理も掃除も裁縫も十分おもしろいとは思えないのに、それ以上面白いものをまるで見つけられないのだ。

日々のパンのために苦労する者は、余暇を甘きものとして渇望する—実際にそれを手にするまでは。

老掃除婦が自らのために書いた伝統的な墓碑銘がある。

友よ、悼まないで、決してあたしのために泣かないで
というのもあたしはこれから永遠にひたすら何もしないのだから

それが彼女の天国だった。余暇を心待ちにする他の人々同様、彼女も聴いているだけで時間を過ごせたらどんなにいいだろうと思っている—というのもその詩の中にはもう一つこんな対句があるからだ。

天国は詩篇や甘い音楽で充ち満ちている
でもあたしは歌う側には一切まわらない

だが、人生が耐えられるものとなるのは、その歌う側にまわる人々だけなのだ—そして歌える人はいかに少 ないことか! つまり創造以来初めて、人類は己の本物の、永続的な問題に直面する—目先の経済的懸念からの自由をどう使うか、科学と複利計算が勝ち取ってくれた余暇を、賢明にまっとうで立派に生きるためにどう埋めるか。

私たちは再び手段より目的を重視す るようになり、便利なものより善良なものを好むようになる。今の時間、今日という日を美徳を持って立派に 活用する方法を教えてくれる人々を尊ぶようになる。物事の直接の楽しみを見いだせる素晴らしい人々、働きもつむぎもしない、野の百合のような人々が尊敬されるのだ。

原文(英語)
イエール大学の講義資料として公開されています。
URL: http://www.econ.yale.edu/smith/econ116a/keynes1.pdf
“Economic Possibilities for our Grandchildren” (1930)

日本語訳
評論家・翻訳家の山形浩生氏による翻訳が「プロジェクト杉田玄白」で公開されています。
URL: https://genpaku.org/keynes/misc/keynesfuture.pdf
山形浩生 訳『孫たちの経済的可能性』

オーストラリア「16歳未満SNS禁止」

デジタル時代の“見えない安全”をどう設計するのか

2025年、オーストラリアの16歳未満SNS利用を禁止するニュース が注目を集めています。
政策は「Age Assurance(年齢確認)」強化の一環であり、主要SNSに対して
確実な年齢確認と未成年利用の制限 を義務づけるものです。

世界的には、EUのDSPA(Digital Services Package)や、
米国のKOSA(Kids Online Safety Act)など、
未成年のオンライン保護に関する動きが加速しています。
オーストラリアは、その潮流の “先行事例” と言える状況になっています。


子どもを守るための禁止なのか、
子どもから世界を奪う可能性のある禁止なのか

SNSは危険だ、という感覚は、多くの保護者が抱いているものです。
事実として、若年層のSNS利用には以下のようなリスクが指摘されています。

  • 睡眠障害や自己肯定感の低下
  • オンラインいじめの増加
  • 過度な比較によるストレス
  • 依存的な使用

こうした背景を考えると「16歳未満禁止」は、
強めではありますが“安全策”として理解しやすい政策です。

しかし一方でSNSは、
現代の子どもたちにとって 学校の外にあるもう一つの公共空間
でもあります。

  • 同年代の価値観に触れる場所
  • 作品や活動を発信し、世界から反応を受け取る場所
  • 多様性の中で、自分の輪郭を見つけていく場所

単純な禁止だけが進めば、
子どもたちから 学びと表現のチャンス を奪ってしまう可能性があります。


技術で守るのか、社会で育てるのか

──この政策が突きつける問い

興味深い点は、オーストラリア政府が
年齢確認技術(Age Verification / Age Estimation)を強く求めていること です。

AIによる年齢推定、デジタルID、顔認証、安全な匿名証明など、
SNSやプラットフォーム側には今後、
「ユーザーの年齢を正確に扱うこと」 が求められていきます。

これは、これまでインターネットが大切にしてきた
匿名性と自由の再設計 に踏み込む動きでもあります。

SNS禁止の議論は、子どもの問題だけではなく、
私たち全員が向き合うべき 社会と技術の境界線 を問うものになりつつあります。


禁止だけでは不十分?

必要なのは “デジタル版の交通教育” です

現実世界で子どもに自転車や交通ルールを教えるように、
SNSにも 「使い方を学ぶ教育」 が本来必要なのではないかと感じます。

例えば、

  • 情報との向き合い方
  • 匿名性の利点と危険
  • SNSで言葉を使う重さ
  • 発信のリスクとリターン
  • 困ったときに相談できる先

こうした「デジタル・リテラシー教育」がないまま禁止だけを進めても、本質的な安全にはつながらないのではないでしょうか。


では、日本はどうする?

日本でも若年層のSNS起因トラブルは増えていますが、国レベルでの強力な規制はまだ慎重な姿勢です。

理由としては、

  • 表現の自由の尊重
  • 広告産業・クリエイター経済への影響
  • 教育・学習機会の損失
  • 親子間のITリテラシー格差

など、複数の要素が絡み合うためです。

しかし、もしオーストラリアの政策が一定の成果をあげれば、
世界全体が 「未成年のSNS利用を国がコントロールする方向」
一段階シフトする可能性があります。

日本もいずれ、
「禁止か、教育か、技術か」
自国のスタンスを明確にする時期が来るでしょう。


おわりに──

“安全”を作るのは技術だけではなく、社会そのものです

SNS禁止の議論は、一見すると強い政策に見えます。
しかしその本質は、
デジタル時代における 「人間と社会のつながり方」 を問い直すことにあります。

テクノロジーは便利で、確かに強力です。
それでも 本当の安全は、人と人の間で育まれるもの だと思います。
政策は仕組みを整える助けになりますが、子どもたちを守るのは、家庭、学校、地域、そして大人たちの姿勢です。

そしてオーストラリアの「16歳未満SNS禁止」は、世界のデジタル社会が次のステージへ進むための“テストケース”と言えるのかもしれません。

明日できることは今日しない