2025年4月6日、NEXCO中日本が管轄するエリアで大規模なETCシステム障害が発生しました。1都7県・17路線・106カ所の料金所でETC決済ができなくなり、通過する車両に対してバーを開放。ETC無線通信は不可能な状態に陥りました。
この障害を受けて、NEXCO中日本は「後日精算」という対応を取り、出口料金所では「お支払いのお願い」と書かれた紙を配布。ところがこの配布が渋滞の一因とも言われています。
さらに注目すべきは、約92万台の通行車両のうち、実際に後日精算の届出を行ったのは4月8日22時時点でわずか2万4千件という現実です。
ここで疑問が浮かびます。
そもそも、案内用紙を印刷、配布し、届出を受け付け、振込を確認し、未払い者に催促する――その一連の作業にかかる労力とコストは、利用者だけでなくNEXCO側にも相当な負担です。仮に全額回収を目指すなら、1件あたりの処理費用は軽く1,000円を超えるのではないでしょうか?
だったら、いっそのこと障害のあった日だけ通行無料にした方が良かったのでは?
1日無料にしたとしても、年間売上から見ればたった1/365の減収です。それよりも、利用者からのクレーム、問い合わせ対応、精算における人件費などを考えれば、総合的に見て無料にした方がプラスだった可能性が高いと感じます。
加えて、国土交通省は今回のケースを「不正通行にはあたらず、刑事罰の対象ではない」と明言しています。
となると、「届け出て支払った人」と「何もしなかった人」との間でモヤモヤが残る結果になりかねません。
そして、無料にする場合は、こういう時に備えて、NEXCOが保険会社と契約するとか、NEXCO各社でお金を出し合って引き当て金を作っておくとか、あるいは、国がある程度補償する(税金を1/365免除など)というようなことでもいいのではないでしょうか?
システム障害は必ず起きるものです。飛行機が離発着できないとか、今後も必ず起きます。飛行機の場合は、安全上離発着させられないので、「交通インフラを正常稼働させられない」と思いますが、ETC障害は単に「通行料金が回収できない」話ですので、それよりは、「交通インフラを正常稼働させる」ことに重きを置いてほしいと考えます。