今年の4月12日から、新gTLDの申請受付がはじまっています。締切は8月12日まで。まだ間に合います。ご希望ありましたら、こちらへどうぞ。
ドメインの右端、いわゆる「ドット以下」の文字列は、長いあいだ .com や .jp といったごく限られた選択肢しかありませんでした。その常識を根底から覆したのが、ICANN(インターネットのドメイン名やIPアドレスを世界的に調整・管理する非営利法人)が2012年に実施した「新gTLDプログラム」です。
このとき世界中から集まった申請は1,930件。.shop や .bank のような一般名称、.google や .bmw のようなブランド名、.berlin や .nyc のような地名──インターネットの“地名表記”そのものを各社が奪い合う、空前の地殻変動が起きました。
私たちインターリンクは、この2012年ラウンドで .moe・.earth・.osaka をはじめとする複数の新gTLDを取得し、ICANN公認レジストリとして今日まで運用しています。なかでも .osaka の取得は、少し特別な意味を持っています。日本の企業として唯一、「コミュニティ申請」を通過させた事例だからです。
今回は、この .osaka をどうやって私たちが手にしたのか、その舞台裏を少し詳しくお話しします。
そもそも「コミュニティ申請」とは何か
新gTLDの申請には、大きく分けて2つの種類があります。
ひとつは標準申請(Standard Application)。文字どおり、誰でも申請できる通常ルートです。同じ文字列に複数の申請が集まった場合(これを「競合=コンテンション」と呼びます)、最終的にはオークションなどで決着がつきます。資金力がものを言う世界です。
もうひとつがコミュニティ申請(Community-based Application)。これは「特定のコミュニティのために、そのコミュニティの総意にもとづいてドメインを運営します」と宣言して申請するルートです。地域、職能団体、文化的集団など、明確に線引きできる“共同体”を代表する立場で申請します。
コミュニティ申請には、標準申請にはない審査があります。CPE(Community Priority Evaluation/コミュニティ優先評価)です。競合が発生したとき、コミュニティ申請者は16点満点中14点以上を獲得すれば、オークションを経ることなく、他のすべての標準申請を退けて優先的にドメインを取得できるのです。
ただし、これは“いばらの道”でもあります。CPEは次の4つの観点から、それぞれ厳しく採点されます。
- コミュニティの確立度:その共同体が実体として明確に存在しているか
- 文字列との結びつき(Nexus):申請文字列がそのコミュニティを的確に表しているか
- 登録ポリシー:コミュニティのための運用ルールが整備されているか
- コミュニティからの支持(Endorsement):当事者である団体・組織から実際に支持を得ているか
中途半端な“コミュニティらしさ”では、まず14点には届きません。事実、2012年ラウンドでCPEを通過できた申請は、世界全体でも84件中、たった5件しかありませんでした。
84件のうち、CPEを通過したのは5件
.osaka は、地名gTLDです。地名gTLDの取得には、その地域を代表する政府・自治体からの支持または異議無しのレターが欠かせません。私たちはまず大阪府からその支持を得たうえで、あえてコミュニティ申請という最難関ルートを選びました。
標準申請であれば、競合が起きたときの最後の決着はオークション──つまり体力勝負です。対してコミュニティ申請なら、CPE(コミュニティ優先評価)で16点満点中14点以上を取れば、オークションを経ずに優先権を確定できる。その代わり、評価のハードルは桁違いに高くなります。
どれほど高いか、数字で見てみましょう。2012年ラウンドで世界中から寄せられた申請1,930件のうち、「コミュニティ申請」として出されたのは84件。さらに、競合が生じて実際にCPEまで進んだのは約24件。そして14点以上を獲得して通過できたのは、わずか5件でした。
その5件が、.osaka・.radio・.hotel・.eco・.spa。
.osaka は、この5件のひとつです。
私たちは大阪府の支持に加え、大阪に根ざす企業・団体・組織から数多くの支持レターを集め、大阪コミュニティのための登録ポリシーを綿密に設計して、申請を組み上げました。その結果、CPEでの獲得スコアは16点満点中15点。.osaka の優先権を確定させ、2013年のICANN承認を経て、2014年12月11日、.osaka はインターネットのルートゾーンに正式に委任されました。
日本の企業がコミュニティ申請でCPEを通過させたのは、後にも先にもこの一例だけ。私たちが「日本でただ一社」と申し上げる所以です。