なでしこ優勝の原動力は劣勢になってもあきらめない
精神力、というような、スポ根ドラマを思い出す論評
が多いのですが、私が感じた精神力は別のものなので
ちょっとそれについて記します。
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「アメリカの高さとパワーに負けた」場合、
どういう対応をすることが多いでしょうか?
「アメリカの高さとパワーに負けないよう、高さと
パワーのある選手を育てよう」
という方向になってしまいがちです。
これは、私に言わせれば
「決して口にすることはできないのに、口にしたら
甘いだろうと思わせる」甘い誘惑です。
アメリカの高さとパワーには、決して追いつくことは
できないので、この誘惑はずっとついて回るのです。
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アメリカ人選手が1時間、パワーアップの練習を
します。
日本人選手も1時間、パワーアップの練習をします。
パワー面の素質のあるアメリカ人選手のほうが
練習による効果は大きいはずです。
同じ時間をパワーアップに費やしたら、差はかえって
広がってしまいます。
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では、アメリカ人選手が1時間パワーアップするなら
日本人選手が何倍もの時間パワーアップ練習をして、
(多分無理ですが)アメリカ人選手と同じパワーと
なったとします。
でもその代償として、技術を磨く時間がありません。
単なる、「技術のないアメリカ人選手」になるだけ
です。
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管理職になって、部下の指導をはじめると、最初は
どうしても部下の欠点が気になります。
そして、その欠点を補正しようと努力しますが、
なかなかうまくいきません。
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松下幸之助「長所も短所も天与の個性、持ち味の一面。
うぬぼれず嘆かず大らかにそれらを活かす道を考えたい。」
船井幸雄「長所伸展の法則」
経営の名人と経営の神様は、短所を見ず、長所を伸ばせ、
と言っています。
短所をなくすには、膨大な時間がかかって効果が薄い、
長所を伸ばすのは、本人も楽しいし、大きく伸びる、
ということです。
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もう皆さんおわかりと思いますが、私が思ったのは、
なでしこの欠点を補正したくなる気持ちを抑え、
なでしこの長所を伸ばしてきた、その精神力がすごい、
ということです。
「高さ」で負けたから「高さ」をつけようと思いたく
なるのを、それはアメリカ人選手の個性であって、
私たちの個性、持ち味ではない、と思って頑張るのは
並大抵の精神力ではないと思うのです。
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当社は長所を伸ばす会社になろうと日々努力していま
すが、なでしこジャパンを見て、その気持ちを新たに
しました。
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本ブログの途中の練習時間と効果については、たとえ
であって、実際そうだということではありません。
短所は目立つ。
長所は見ようとしないと見えないものですね。
私も松下幸之助さんの本や、
船井幸雄さんの本を読んだことがあり、
今でも保管しております。
大変素晴らしいことに気づかされます。
誉めて伸ばす=長所を伸ばす
私がお勧めする本は坂井三郎の
「大空のサムライ」です。