第12回オタク川柳解説

第12回オタク川柳大賞

・「君の名は」 聞いてくれたの ポリスだけ(全全全然大丈夫:30代)

運命の人と出会って、君の名は?と聞いてもらいたいのに、聞いてくれるのは警察官。あれ?警察官が運命の人?

・逃げ恥だ? こちらは常に 生き恥よ(人間をダメにする機械こたつ:20代)

TBSの大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」、略称逃げ恥。
逃げるのが恥どころか、生きてるのが恥ずかしい、という、常に好奇の目にさらされているオタクの心情を吐露しています。

・「可愛すぎ… 尊い…」だけで 意思疎通(深刻な語彙力:20代)

オタクは、好きなものを独り占めせず、共有することに喜びを感じます。
同志に出会った時の興奮が伝わってきます。

・ゴゴゴゴゴ 実写化するの 誤誤誤誤誤(やれやれだぜ:40代)

実写化は多くの場合、実写化前のファンをがっかりさせます。
韻を踏みながら、実写化へのレジスタンスが強く感じられます。

・アニメイト 彼氏と来るやつ まじ何なん? (空気おいちい:10代)

腐女子の聖地、池袋の中心にあるアニメイト。
きっと彼氏はかなりの美形だったのでしょう。

・腐っても 鯛は鯛だし 姉は姉 (さごじょう:30代)

オタク界隈においては、妹=オタク男子の永遠の彼女、姉=ツンデレもしくは、腐女子、という意味があり、腐女子になっても価値を失わない姉を鯛と同等の価値あるものとしています。

・君と出逢い 沼に落ちる 音がした (生きる糧:20代)

古池や 蛙飛びこむ 水の音(芭蕉)と同様、2次元キャラに会って、成就しない恋の沼に落ちた音がした、と情景のみを描写しています。これからあとどう沼にはまっていくのか、読む側の想像力が試されています。

・気になるの 婚期じゃないの 今期なの (私気になります:20代)

アニメは通常、3ヶ月を単位として放映され、それぞれ春アニメ、秋アニメなどと呼ばれます。今期、というのは、この3ヶ月のアニメのことで、たくさんある中、すべてを見ることは不可能ですし、好みもあるので、どのアニメを見るかの取捨選択がアニメ開始時期のオタクの最重要課題となっています。

・聖地では 押さない駆けない ニヤつかない (わんだあ:30代)

アニメの舞台となった場所のことを聖地と呼びます。大ヒット作「君の名は」の舞台となった場所を巡る、聖地巡礼が話題となりました。よい大人のみなさんは、行儀良く聖地を廻りましょう。

・コミケ前 胸とミシンが 高鳴るの (しゅぷーる:40代)

コスプレイヤーは、衣装を着るだけではなく、作ることも大好きで、上手に作る人は大変な尊敬を受けます。コミケという大舞台を前に胸の高鳴りと、ミシンの高鳴りを押さえられない上級コスプレイヤーの8月と12月の情景です。

・子に課金 何故にレベルが 上がらない (りんしの:40代)

スマホゲームでは、課金することで、レベルアップが簡単になりゲームを有利に運ぶことができます。子どもに課金、つまり塾通いなどお金をかけているのに、ゲームほど簡単にいかないもどかしさが伝わります。

・「お前がさ 美少女ならなーw」 俺「それな」(「え?」「え?」:30代)

オタクは友達は少なくてもとても仲の良い場合が多くあります。
仲の良いオタクの友達が美少女だったらなあ、と一歩間違うと大変なことになってしまう妄想をしてしまった、という告白をした友達に、俺だってそう(お前が美少女だったらと)思ってるよ、という、さらに仲の良くなる光景が目に浮かびます。
たまに本当に美少女になってしまうオタ男子もいるので、要注意です。

・田舎では ポケモンcan’t GOでした (びゃくだん:40代)

ポケモンGOでは、ポケストップという場所を廻るのが良いのですが、田舎にはポケストップがないし、あってもそこでルアーを使っている人がいない、という、現実だけでなく、AR(拡張現実)においても地域格差があるという政治課題を指摘しています。

・トランプよ オタクの萌えに 壁はない(国境もない:50代)

たとえば、セーラー服をかわいいと思うのは、日本人だけでなく世界中にいて、海外イベントでもセーラー服を着る女子、たまに男子も多くいます。
アメリカ大統領といえど、オタクの萌えに、壁は作れなそうです。

・「My waifu <3」 「Did you draw it? I love this XD」 (国際派:20代)

waifuはスペルミスではなく、英語圏オタクの「嫁」という意味で、My waifu=俺の嫁、です。<3はハートーマークが横になったもの、XDは満面の笑顔が横になったもの(Xが目、Dが口)です。
自分の描いた美少女を見せて、
「俺の嫁(ハート)」「君が描いたの?超いいね(ニコニコ)」
という英語圏オタクのほのぼのとした風景を描いています。

・二郎から セイクで優勝  魔剤ンゴ!? (ぽやしみ~:20代)

ラーメン二郎食べたあとに、酒まで飲んで他の追随を許さないなんて、本当?
二郎=ラーメン二郎、セイク=酒、優勝=勝負に勝つではなく、とてもすごい、の意、魔剤=マジ(本当)、maziの打ち間違いから。
二郎からセイクは、オタクの正しいハシゴとされています。

・マツコから 言われてみたい 「狂気だわ」 (ほん:40代)

マツコが「マツコの知らない世界」でよく言う言葉です。
毒舌で厳しい評価を持つマツコに、極めていると唸らせたマツコ流誉め言葉です。

・チケ3万 グッズで10万 靴千円 (しらふ:40代)

オタクのお金の使い方がよくわかります。おしゃれさんは靴にお金をかけますが、オタクは靴に最もお金をかけません。

・クハクモハ サハサロサロハ キシキイテ (認めません。:20代)

鉄道列車の型番を示す
ク(運転台付き)ハ(普通車)
クモ(運転台、モーター付き)ハ(普通車)
など、うまく並べて韻を踏んだ作品です。

・【敗者復活枠】「あべし」とは 総理ではなく 断末魔 (ぬのぱんだ:30代)

あべし、とは北斗の拳でケンシロウが倒したザコキャラが最後に発した言葉のひとつ。北斗の拳では、ひでぶ、など他にもいくつか断末魔の言葉があるが、最も有名なものです。
政治よりアニメに興味があるオタクがよく描かれています。

 


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