100点を目指さない社会

昔、ある管理職研修セミナーに出た時のことです。

営業成績をあげるために営業社員に目標を設定する場合、どのような目標を設定するか、ということで、現在、売上1億円の社員に設定する目標を下記から選ぶという課題でした。会社としては、売上が1.2倍で成功、1.5倍になれば大成功という設定です。

①1.2億円 がんばれば到達できそうな目標を設定する 
②1.5億円 かなりがんばれば到達できる目標を設定する
③2億円   絶対に到達できそうにない高い目標を設定する

(細かい数字は忘れましたが、大体こんな感じでした)

私は①を選びましたが、そのセミナーの講師は、③が正解と言いました。

 

正解の理由として講師が挙げたのは、

・2億円は絶対に無理だが、1.5億円はクリアできる可能性がある。1.5億円を目標にすると、1.5億円すら未達になる可能性が高い。

ということでした。

私はこの話を聞いて、そんなものか、と思う反面、本当の目標は1.5億円なのに、それを隠して2億円と言って働かせる、ということに違和感を覚えました。

 


 

さて、話題を変えて、みずほ銀行のATMトラブルの件です。

NHKのニュースによれば、

みずほ銀行では8日午前、ATM=現金自動預け払い機およそ100台やインターネットバンキングが一時使えなくなるトラブルがありました。

(筆者注:8日とは2021年9月8日のこと)

私が感じたのは、「え?たった100台?」です。海外ではATMが動かないとかしょっちゅうあります。中国ではカードを吸い込まれるのを目撃し、その日は対応してもらえず、翌日になんとか対応してもらったこともあります。

みずほのATMは全国に何台あるか知りませんが、100台って少ないと思いますし、記事の通りとすれば、コンビニなど提携ATMは使えたようですから、利用者側でなんとか対応できたように思えます。

いつ、なんどきも絶対に動くシステムが作れないことは、エンジニアなら誰もが知っていますし、一般の人だって、iPhoneがフリーズしたり、PCが固まったりした経験をお持ちと思います。そんな時、原因追求して、Apple社にクレームを言って原因がわかるのか?と言えば、わからないことの方がほとんどです。原因追求するのではなく、再起動すれば直るので多くの人は、原因追及などせず、再起動していると思います。

いつなんどきも絶対に動く百点満点のシステムでなければ認めない社会ではなく、80点でいいよという社会こそ、デジタル化に求められる社会なのではないかと思うのです。

 


 

最初の営業社員の話題に戻ります。

2億円という絶対に到達できない目標を設定された営業社員は、1年間ずっと叱咤され続けるでしょう。

「もっとがんばれ」

「まだまだだ」

「1億円達成しました!なんて偉そうに言うな。まだ半分だ」

「1.5億円達成したからって気を緩めるな!2億までやれ!」

これ、どこかで見た光景に思えませんか?

「自粛しろ!」

「(少し減ってるけど)まだまだだ」

「(かなり減ったけど)百人下回ったからって気を緩めるな!ゼロになるまでやれ!」

コロナで一般庶民が言われ続けている言葉と、そっくりではないでしょうか?

管理職や偉い人は、本心では、「ここまできて(1.5億円や、感染者数100人以下)よかった」と思っているのに、部下や庶民に対しては、「まだまだだ!気を緩めるな!もっとがんばれ!」と叱咤し続ける、という。

売上2億も、感染者ゼロも絶対に到達できない目標で、100点を目指しているように思えます。100点を目指さない社会、80点でいいよという社会、それこそ求められている社会のような気がしてなりません。


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