犬猿の仲のAppleとMetaが異例の協業。その背景にある中国製AIへの警戒感

犬猿の仲とも評されるAppleとMetaが、AI分野で異例の協業を発表しました。

Metaが公開した「Muse Spark Open」というAIを、Appleの高性能パソコン「Mac Studio」で動かせるようにしたのです。

最近、企業の間では、ChatGPTのようにインターネット経由で利用するのではなく、自社のパソコンでAIを動かす「プライベートLLM」への関心が高まっています。

機密情報を外部に送らずにAIを利用できるのが大きなメリットです。

ところが、ここで問題があります。

自分のパソコンで動かせる高性能AIは、中国製が非常に強いのです。 Kimi、DeepSeek、Qwenなどが代表例です。

米国の首都ワシントンでは、こうした中国製AIへの依存を問題視する声が出ています。

そこで登場したのが、Metaの「Muse Spark Open」です。

これは「オープンウェイト」と呼ばれるAIで、AIの頭脳にあたるデータが公開され、利用者が自分のパソコンに導入できます。

今回の協業には、両社の思惑が見えます。

Metaは、AI開発で他社に遅れをとった分を取り返したい。

Appleは、巨大なAIを動かせるMacの圧倒的な性能をアピールしたい。

そして両社とも、中国製AIへの依存を警戒する米国の政府関係者や企業にアピールできます。

まさに一石三鳥です。

もっとも、AIの性能そのものでは、中国製のKimiに及ばない部分もあります。しかし、中国製AIを避けたい企業には十分魅力的な選択肢になるでしょう。

ただし、大きな問題があります。

今回のAIをMacで動かすには、メモリ512GBを搭載したM5 Ultra Mac Studioが2台必要なのです。

このモデルはまだ発売されておらず、価格も未発表ですが、1台300万円超、2台で600万円超になる可能性があります。

AIそのものは無料で手に入っても、それを動かすパソコンが600万円!

これでは、一般家庭で気軽に利用できるものではありません。

ちなみに、NVIDIAの高性能GPUを使って同じAIを動かそうとすると、数千万円規模の設備が必要になる可能性があります(*)。

そう考えると、Mac Studioが2台で600万円を超えるとしても、実はかなり安いのです。

Appleが自社製パソコンの性能をアピールしたい理由もわかります。

それでも、巨大なAIをクラウドではなく、自分のパソコンで動かす時代が近づいているのは間違いありません。

さて、数年後にはいくらで動かせるようになっているでしょうか。


(*)NVIDIA製GPUとの価格比較について

Metaが動作確認しているNVIDIA製GPUの構成には、B300またはGB300を4基使用するものがあります。
B300を8基搭載したサーバーの価格例は約50万〜65万ドルで、為替レートによっては日本円で数千万円から1億円近くになります。なお、NVIDIA製GPUは処理速度や複数ユーザーによる同時利用に強みがあるため、Mac Studioと単純に価格だけで比較できるわけではありません。

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