マイナンバーのココがシステム開発として難しい〜日本の戸籍制度

マイナンバーでなにかあると、すぐにメディアは大きく取り上げるので、すごく不安を持っている方は多いと思います。

私自身は、マイナンバーの開発に携わっているわけでも、関連のなにかをしているわけでもありませんが、単なるヒューマンエラーまでシステムの不具合とされるような報道を見ると、エンジニアの一人として、とても悲しい気持ちになります。

マイナンバーシステムは、さまざまに散らばっている個人の情報を、しっかりとまとめて、いわゆる「消えた年金」が5,095万件あったというようなことが起こらないようにしたり、各所に個人情報が散らばったままだと、たとえば住所を変更したいときにも、それぞれ手続きをしなければならないのを、1回で済むようにするとか、たとえば給付金なども漏れなくもらえるようになる、というようなメリットのあるものです。

そのためには、各所に散らばっているデータを、統合する必要があります。

銀行口座情報が間違えて紐づいていた、というニュースがありました。

さて、ここでなぜこういう問題が起こるのか、ですが、ごくごく簡単に一言で言ってしまうと、

日本人の戸籍は文字だけで(その多くは漢字です)、読みがなは戸籍にはない

ということがあります。

ですから、読めないような名前の人がいますが、それは法的には間違っていません。

さらに、戸籍の漢字については、異体字も多く、「崎 」という字は、「﨑」「 嵜」など、あります。私の高校時代の担任は岩崎先生という方でしたが、字画がいいので、「﨑」を使うようになった、とおっしゃっていました。戸籍はどうだったんでしょう?戸籍と無関係に使っていたのかな、と思います。戸籍と違うということでは、たとえば、船井総研創業者の船井幸雄さんは戸籍では舩井だったことに50代で気づいたとのことで、晩年は舩井を使われていました。気づく前までは、戸籍名と違う船井で住民票や船井総研設立時の登記も通していたと考えられます。

本人ですら間違っているんです!

それを正しく紐づける、ってできるとは思えません。

それに、今の銀行口座のデータベースには漢字も入っていると思いますが、昔作った銀行口座には、漢字は入っていないと思います。1970年代に漢字を扱えるシステムはほとんどありませんでしたし、異体字なんてさらに扱えなかったはずです。

つまり、

読みのない文字だけの戸籍

読みだけの銀行口座

をマッチングさせる必要があるわけです。ちょっと考えただけでも相当大変なことがおわかりいただけるんではないでしょうか?

それで、システムとしては、どうしているか、というと、システムがマッチングさせるのではなく、ご本人に銀行口座を登録してもらっているわけです。

その時に、子供の情報なのに、親の銀行口座を登録した、というようなことが起きたわけです。銀行側が異体字含めて正確にデータベースを持っていない限り、合っているかどうかをシステムが判別することは難しいです。

さて、今回戸籍制度をいろいろ調べて、中国の戸籍制度についても調べたところ、

中国人も戸籍は漢字だけ

中国では漢字の読みはひとつしかないので読みを登録する必要がない

とのことでした。ほんの少し読みが複数ある漢字もあるそうですが、名前には使われないとのことでした。


さて、ここで読みが戸籍にないとなると、改名というのは、文字を変えることなので、文字を変えずに名前の読みを変えたい時はどうなるのか、調べると、驚きの結果が!

“住民票に記載される名前の読み方・フリガナを変更したい場合は、各市区町村役場にその読み方・フリガナの変更届を提出することになります。 ただし、住民票に記載される名前の読み方・フリガナの根拠規定がないことを理由に、その変更手続が定められていない自治体もある場合があります。”
(改姓改名・氏名変更ドットコムより)

という情報を見つけました。真偽は不明ですが、2024年には、戸籍に読みが登録されるとのことなので、いつやるの?今でしょ?!の世界ですね(笑)

いえいえ、変えないでください。マイナンバーどころか、当社のような小さな会社のデータベースも変更が必要になって、そこらじゅうで大パニックになります。

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