船舶では労働基準法が適用されない!?

ダイヤモンドプリンセス号への対応が話題になりましたが、今は、姉妹船グランドプリンセス号が米国で同様の状況になりつつあります。

私は船舶工学を専攻していましたが、プログラミングの会社を起業したため、実はそれほど詳しくないのですが、少し船の特殊性について知ってもらいたいと思って、本エントリを書きます。
なにしろ30年以上前に学生だっただけなので、誤りがあるかも知れません。もし誤りがあればお知らせください。(特に元同級生のみなさん、よろしく)

まず、

船では労働基準法が適用されません!

さらに 健康保険法や雇用保険法も適用されません!

え?!そしたら無法地帯?!

だから「マグロ漁船に放り込んでやる」みたいな話があるんですね。
 ↑
いえ、違います。船員法という法律が、そういった関係の規定をすべて含んでいるのです。

船長の権限は強大

船長は乗員乗客の命を預かっています。乗員乗客の安全のために、必要な命令を下せます。報道で、都道府県知事並みに権限がある、というのがありましたが、東京都知事は人を拘束できませんが、船長はできます。たまに航空機で暴れた酔っぱらいを拘束したというのが報道されますが、あれと同じです。私は船長の権限は、都道府県知事以上と思います。

船長最後離船の義務

船が沈むとき、船長もともに沈む、というような場面を戦争映画で見たことがあります。実は1970年までは、商船でも最後離船が義務で、殉職も多くあり、船長協会が働きかけて改正され、現在は最後離船は義務ではありません。海上自衛隊は義務のようです。Wikipediaを長くなりますが引用します。

古くから商船(軍艦)が沈む際には、船長は最後に離船する、時には船と運命を共にするという事例が見られた。こうした伝統は、長年、商船の運用を行ってきたイギリスにおいても法令などで成文化されてはいない。1980年LNG船関門海峡の投錨地で座礁した際にアメリカ人船長がピストル自殺した例、1997年福井県沖でナホトカ号重油流出事故が発生した際にロシア人船長が救出を拒否して後日、遺体となって発見された例など、個別事例は枚挙にいとまない。しかし一方で、2012年コスタ・コンコルディアの座礁事故2014年セウォル号沈没事故の様に、船長が救助の現場を放棄し、いち早く避難するといった極端な例も見られる。一方、日本では、過去、前述のように船員法第12条で船長の最後離船が定められていたが、1969年から1970年にかけてぼりばあ丸事故、波方商船の「波島丸」事故、かりふぉるにあ丸事故と立て続けに3件遭難し、それぞれの船の船長が離船を拒否して殉職する例が見られたため、法改正が行われ、船長の最後離船、最後退船は義務ではなくなっている[8]

船長最後離船義務の船員法ができた明治時代の経緯はこちら、1970年の改正における経緯はこちらが詳しいです。

船籍国の法律が適用される

ダイヤモンドプリンセス号の船籍は英国で、船長以下、船員は英国の法律で働いています。

検疫業務は相当、大変だったろうと思います。ロンドンのアパートに厚労省が立ち入り検査する、みたいなものです。(ちょっと無謀なたとえですが、英国法が適用されるアパート=船、大家=米国の運行会社、住民=乗客)さらに、なにをするにも船長の許可が必要で、その船長は英国の法律で自らが罰せられることがないようにしなければなりませんし、米国の船主から責任追及されてもいけないので、そちらにも配慮する必要があります。もし、船長の許可が出たとしても、乗客に強制力を持たせられるのか?すでに沖縄で入国しているので、入国時の検疫ではないはずです。ちょっとここまで来ると30年前のグータラ学生にはわかりません。映画シンゴジラで自衛隊を発動させる法的根拠は?という議論が官邸でなされましたが、同じような法的根拠が求められたものと思います。

3500名規模について

3500名の乗員乗客を収容するのがどれほど大変か調べてみました。たとえば、日本一のベッド数があるのは、愛知県藤田医科大学病院で1,435ベッドです。全然足りません。その他、ホテル、マンションも調べてみました。

病院 藤田医科大学病院 1,435ベッド

Close view of Fujita Health University Hospital Entrance 2018

ホテル 品川プリンスホテル 3,679室(本館、アネックス計)

マンション THE TOKYO TOWERS  2,799室(ツインタワー)

品川プリンス2棟を全館貸切にして、やっとなんとかなるレベルです。マンションも2棟なので1棟あたりだと半分くらいになります。(ホテルとマンションはワンルーム以上の部屋も多いのでオーバースペックとは思います)

本エントリは、船が特殊な空間であること、非常に大きいということをお伝えしたく書きました。典拠を明らかにするなど間違いのないようにしましたが、間違いがあればご指摘ください。


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