先日、あるところで、マイナンバーカードがいかに危険かを話している会話が聞こえてきました。
「この前、不用品を買い取ってもらおうと、○○○○○に行ったんだよ。買い取り時には、本人確認を求められるよね。マイナンバーカードか運転免許証と言われたのよ。それで、どっちがいいの?って店員に聞いたら、マイナンバーカードはいろいろなデータが入っているから漏れたら大変、お店としてはマイナンバーカードは扱いたくない、あんな危ないものはないって言うんだよ。そのくらい、マイナンバーカードは危険なんだよ。あんなもの、持ち歩いちゃいけないんだよ」
というような話でした。
この話は間違いだらけで、いろいろツッコミどころ満載なのですが、一般の人にわかりやすく説明を試みてみます。
まず、マイナンバーカードに関しては、
①マイナンバーカード自体に保存されているデータは、住所氏名生年月日くらいのものである。
②健康保険証や運転免許証としても使える(ようになる)ので、カードにそのデータも入っているように勘違いされているが、それぞれのデータへマイナンバーカードを通してアクセスできるだけである。アクセスに際しては、専用の機器に、マイナンバーカード、パスワードが必要である。
③マイナンバーカードに入っているICチップは、高度な偽造防止技術が使われている。
つまり、マイナンバーカードの偽造自体が非常に難しく、もし偽造もしくは盗んだとしてもデータは分散されていて、さらにアクセスには専用の機器が必須で、パスワードも必要、と何重もの安全弁があります。また、現在の銀行口座連携は、受け取り口座としての連携なので、その口座にお金が入っていくことはあっても、その口座からお金が出ていくことはありません。もし、今後、支払い口座として連携されたとしても、税金の引き落としなど公金引き落とし口座として使われるだろうと思われ、一般向けに振り込んだり、引き落としたりはされないはずです。
「マイナンバーカードが漏洩したってニュースで見たよ」という人もいるかも知れませんが、そのニュース、もう一度よく見てください。
「マイナンバーカード」ではなく、「マイナンバー」の漏洩です。
実は、マイナンバー自体は、漏洩するだろうなと私も思いますし、役所の方でも、漏洩しても大事に至らない設計をしています。
というのも、勤務先や証券会社など、さまざまな所にマイナンバーを届け出る必要があります。それらの会社が攻撃を受けたりして、漏れてしまう可能性はあるわけですが、それでも、マイナンバー自体が漏れたところで、悪意があったとしても、直接何かをできるわけではありません。
この漏洩についても、運転免許証やクレジットカードと違う法制があります。
こちらのページに下記のように綺麗にまとめられています。なんと、懲役刑まであります!
マイナンバーは不正に取得しただけで罪になります。一方、クレジットカード番号は、不正に取得して、それを使って買い物をしたら罪になりますが、クレジットカード番号を不正に収集しただけでは、罪にはならず、実刑もないと思います。(専門家でないため自信はありません)
すぐお金になって、刑罰の軽いクレジットカード番号に対して、すぐにお金にならない上、刑罰の重いマイナンバー。
犯罪者にとって、マイナンバーを悪用するには、リスクが高く、技術的にも難しい上に、得られるものが少ない、と言えます。
さて、冒頭の不用品買取店の店員は、なぜ、マイナンバーカードでなく運転免許証がいいと言ったのでしょうか?
それは、まさにこの罰則規定だと私は推測します。万一、不用品買取店からマイナンバーが漏れてしまったら、罰則があります。経営者が各店舗に、マイナンバーは罰則ありだから、できるだけ運転免許証にしてもらうように、と言ってるんじゃないか、と思います。そういう意味では、マイナンバーカードは本当に危険ですね。