社会保険庁外注費 時給2万円は安すぎる

2/5のニュースですが、どうも「2万円は高い」という論調が多いようです。

ITエンジニアのためにも、高いとはいえないということをここで書きたいと思います。

それどころか、私は安すぎると思うのです。もっと高い人材を呼んだほうがいいのではないかと。

毎日新聞ニュースより

時給2万990円は高い?安い? 社会保険庁の新たなオンラインシステム構築業務で、民間企業への外注経費として、技術者1人につき1時間で最高2万990円を計上したことが5日の衆院予算委員会で取り上げられ、川内博史氏(民主)は「高過ぎるのではないか」と疑念を呈した。

 08年度予算の厚生労働省資料では、「全体プロジェクト管理」「見積評価」といった業務ごとに必要時間数と単価を記している。1時間あたりの単価は最高の「主席研究員」で2万990円。「主任」が1万5990円。

まず、私の理解する前提条件を書いておきます。この条件が間違っていると困るのですが。

(1)国家の社会保険制度の根幹をなすシステム構築である

(2)時給2万円は、今回のプロジェクトでプロジェクトリーダーを務めるような人の人件費である。

では、上記2条件のもとで考えてみたいと思います。

1.時給2万円の人は、年収いくらくらいもらっているだろうか?

たとえば仕事を請ける場合、1人が1日働いていくらだから、この仕事でいくら、という計算をすることがあります。

その際、どのくらいが本人に給料として払えるでしょうか?社会保険料の会社負担、福利厚生、退職金・・・さらに、その人に仕事がない場合でも会社は給料を払わなければなりませんし、経理、事務など直接お金を稼いでこない人たちの給料も、外で稼いでくる人の稼ぎの中から払わなければなりません。

えいやっとおおざっぱに言ってしまえば、半分でしょう。

つまり、時給2万円の人は、実際には時給1万円相当が給料ではないか、と思われます。

1ヶ月160時間労働で、月160万円。年収で計算すると、1920万円です。

2.システムの規模と重要性

社会保険庁のシステムは、20歳以上の日本人全員のデータベースです。

これだけの人数のデータベースというと、匹敵するのはメガバンクのシステムでしょうが、日本人全員ですから、社保庁の方が多いと思われます。

また、重要性については、どうでしょう?銀行システムもかなり重要であることは認めますが、国家の社会保険システムの根幹ですから、社会保険庁のシステムの方が重要でしょう。

これらのことから、日本国内で最も重要で最も大規模なシステムである、と言ってもいいかと思いますが、私の知らない大規模システムもあるかも知れませんので、ここでは国内10本の指に入るシステム、としておきます。

3.IT技術者の給料水準

特殊なシステムのインストールなどで、エンジニア1人が2,3時間の仕事で10万円を請求されることは、珍しいことではありません。

そのエンジニアは、他の人にできないことをするわけです。このレベルの人は日本に数百人単位でいると思います。

「思う」というような形では根拠が薄いので、

シリコンバレーの技術者の平均・・・・・1,277万円(141,972$、1$90円換算、出典On Off and Beyond)

こちらはどうでしょう?

あくまで平均です。Googleのエンジニアだったらもっと高いに違いありません。

結論

国内で10本の指に入る、優秀な技術者の年収が1,920万円?

ちょっと安いと思います。

もし時給2万円を全額その人がとったとして、3,840万円。(参考 国会議員には税金から4,400万円が支払われています。辛坊治郎コラム

私は日本において、頭脳労働者に対する評価が大変低いと思うのです。特にITエンジニアに対して、低すぎると思います。

ITエンジニアは、押しの弱い人が多い。(私もそうです)

もっとくれ、と中々言えない。それをいいことに安く抑えてきたような気がします。

社会保険庁も安くするように努力するとかじゃなく、Googleあたりから年俸1億円で開発責任者をヘッドハントしてくるくらいのことをしてほしいですね。

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